脳神経内科

概要・診療について

診療科概要・特徴

脳神経内科では脳神経系の病気の診療を行っています。脳神経系は脳や脊髄を中枢にして末梢神経や自律神経が筋肉、皮膚、内臓など全身にはりめぐらされています。脳神経系の病気には、アルツハイマー病などの認知症、脳梗塞などの脳卒中、パーキンソン病、髄膜炎・脳炎、頭痛、てんかん、めまい、末梢神経や筋肉の病気など、さまざまな病気があります。脳神経内科以外で脳神経系の病気を診る科には、外科的な治療(手術)を必要とする病気を診る脳神経外科、精神の病気を診る精神科などがありますが、脳神経内科で拝見した上で必要に応じて適切な科へご紹介いたします。
超高齢化が進む今日、認知症を始めとする脳神経系の病気の診療のニーズは飛躍的に高まっています。当科では、現在、3名の経験豊富な神経内科専門医が外来および入院診療にあたっており、脳神経内科の専門医療を提供しています。かかりつけ医の先生がいらっしゃる場合は、紹介状をご持参いただきますが、紹介状がない場合でも、ご相談・ご予約の上、受診可能です。また、脳ドックなどの結果で気になる点がある場合なども、当科を受診しご相談ください。電話(03-3262-9191(代表)、午後2時~5時)で、あるいは来院の上、外来受付でご予約されご受診ください。
さまざまな脳神経系の病気の中で、当科では特に認知症に力を入れており、3人の脳神経内科医は、認知症診療の進歩に貢献してきた認知症専門医です。超高齢化に伴い、認知症や、その前段階の軽度認知障害(MCI)の人が急増しております。現在、認知症の主要な原因であるアルツハイマー病に対し根本的な効果が期待される治療薬が2023年末に登場するなど、治療・予防法の開発が急速に進んでいます。その主な対象はMCIを中心とした早期の患者さんです(詳しくは当院ホームページの「認知症とは?:認知症予防の時代へ」をご参照ください)。まさに、認知症になる前の段階で進行を予防する(先制医療)時代が始まっています。当科では、認知症の先制医療を実現するために、「認知症予防外来」を2021年7月より開設しております。

治療方針

脳神経系の病気の原因や病状に応じて最善の治療を迅速に行います。病状や原因を的確に把握するために重要なのは丁寧な診察で、特に初診の時は時間をかけて診察し、それに基づき必要な検査を実施します。病気の原因は脳神経系そのものにある場合ばかりではなく、循環器系の病気(高血圧症など)、内分泌や代謝の異常(糖尿病、脂質異常症など)、膠原病(関節リウマチなど)、脊椎の病気など、全身の異常が関わっている場合も多く、状況に応じて他の科と連携します。それらの結果を、患者さんやご家族に丁寧に説明し治療方針について同意をいただき迅速に治療を実施します。回復を促進するため、必要に応じてリハビリテーションを併用します。
大切なことは早期の段階で正確な診断に基づき適切な治療方針を立てることです。脳神経系は、その性質上、何らかの原因により一旦障害されてしまうと、すぐには元の状態に戻ることは難しい場合が多いため、より早い段階で受診していただき、早期に治療を開始することが重要です。

得意分野

認知症を得意分野としています。アルツハイマー病などの認知症の原因を、認知症になる前のMCIの段階で診断し、早期治療につなげていくこと(認知症先制医療)を念頭におき、当院と東京医科歯科大学と一体となって「認知症予防外来」を開設しています(「認知症予防外来について」をご参照ください)。MCIの認知症への進行予防、認知症の進行予防を目的とした専門外来です。初診時の丁寧な診察や認知機能のチェックに加え、詳細な認知機能検査、MRI、血液・脳脊髄液検査等を行い、必要に応じて東京医科歯科大学PETセンター等でアミロイドイメージングなどの検査を行います。正確な診断や病状の評価に基づき、最新・最適な薬物療法に加えて、認知機能低下を防ぐ生活習慣の指導などを行い、ご家庭での生活環境の整備やケア面などについて相談いたします。

得意分野
得意分野

対象疾患

  • 認知症疾患:アルツハイマー病、レビー小体型認知症、血管性認知症、神経原線維変化型老年期認知症、嗜銀顆粒性認知症、前頭側頭型認知症、正常圧水頭症など
  • 神経変性疾患(認知症疾患以外):パーキンソン病、進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症、多系統萎縮症、脊髄小脳変性症、筋萎縮性側索硬化症など
  • 脳血管障害(脳卒中):脳梗塞など
  • 免疫性神経疾患:重症筋無力症、ギランバレー症候群、慢性炎症性脱髄性多発根ニューロパチー、多発筋炎、多発性硬化症など
  • 神経感染症:髄膜炎、脳炎、クロイツフェルト・ヤコブ病、進行性多巣性白質脳症など
  • その他:頭痛、めまい、てんかん、代謝・栄養障害に伴う神経障害など

認知症予防外来について

認知症は認知機能の低下(もの忘れなど)によって日常生活に支障を来すようになった状態です。正常ではない、しかし、認知症ともいえないグレイゾーンの状態を軽度認知障害(mild cognitive impairment: MCI)と呼びます。現在、高齢者の3割程度は認知症かMCIと考えられています。詳しくは当院ホームページの「認知症とは?:認知症予防の時代へ」をご参照ください。
「認知症予防外来」は、MCI(あるいはそれ以前の)段階では認知症を予防する、あるいは、認知症の段階では認知症の進行を遅らせることを目的としています。認知症専門医が診察し、東京医科歯科大学と連動して先進的な取り組み(認知症先制医療)を行っています。2021年7月から「認知症予防外来」を開始し、2023年12月末までに約500名の患者さんが新たに受診されました。そのうちMCIの人が約4割と最も多く、認知機能正常範囲(年齢相応)の人および認知症の人がそれぞれ約3割を占め、早期の人に数多く受診いただいております。

認知症予防外来の予約

認知症専門医が完全予約制で診療いたします。

<認知症予防外来初診の診療日>
月曜 午後(担当:内山医師)
水曜 午後(担当:山田医師・内山医師)
金曜 午後(担当:三條医師)

<ご予約の方法>
予約受付時間  午後2時~5時
  ◎電話予約の場合 上記時間内に03-3262-9191(代表)にご連絡ください。
           内科外来受付にてご予約をお受いたします。
  ◎来院予約の場合 当院2階内科外来受付にお声がけください。

※完全予約制のため、必ず上記いずれかの方法で予約の上、ご来院ください。
※ご不明な点がございましたら内科外来受付までお問い合わせください。
※紹介状は出来るだけご持参ください。ただし紹介状のない方でも予約可能です。

<医療連携専用枠>

金曜日 午前(担当:山田医師)

おかかりの医療機関から当院の医療連携室へ直接ご紹介のご連絡をいただく場合の優先予約枠を設置しております。おかかりの医療機関にご相談ください。おかかりの医療機関から当院の地域医療連携室(直通電話:03-3262-9316)へ直接ご連絡くださいますようお願いたします。

認知症予防外来受診の流れ

① 問診

問診

どのような症状がどのような経過で起こってきたか、これまでどのような病気にかかったことがあるかなど、丁寧にお伺いします。症状の経過などから、どのような性質の病気かを推定します。

② 診察

診察

認知機能ばかりでなく、全身や脳神経系全体を丁寧に診察させていただき、どこに病気があるのかを推定します。担当医は認知症専門医であるばかりでなく神経内科専門医でもあります。

③ 検査

検査

診断を確かにするために、詳しい認知機能テスト、認知症関連の血液検査、MRIやSPECTなどの画像検査、認知症関連の脳脊髄液検査等を必要に応じて行います。さらに、東京医科歯科大学と共同でPETなどの先進的検査も行っています。

④ 治療

治療

認知機能低下の有無や程度、原因についての精度の高い診断に基づいて、認知症を予防する、または認知症の進行を遅らせて症状を改善するための予防・治療方針について説明し相談します。
薬物治療では、2023年末に発売されたアルツハイマー病の脳のアミロイドを取り除く新薬であるレカネマブ(商品名:レケンビ)を含め、最新かつ最適な治療を相談の上、実施しております。
薬剤による治療ばかりでなく、生活習慣の改善やケア・リハビリテーション等の非薬物的アプローチや心理的サポートも大切で、そうしたチーム医療体制を整備しております。

東京医科歯科大学との連携

東京医科歯科大学との連携

九段坂病院は東京医科歯科大学とともに、未来の認知症先制医療の研究開発に取り組みながら、最先端の認知症予防診療を推進しています。九段坂病院は東京医科歯科大学と連動して「認知症予防外来」を設置しています。
九段坂病院では、「認知症予防外来」をご予約後受診いただく(上記)、あるいは健康医学センターで実施している「プレミアム脳ドック」を受検後「認知症予防外来」を受診いただく場合もあります。